IMUってなんぞ?part14:誤差その2
2018年12月18日
最近、仕事がジャムおじさんになってしまいそうな危機感を感じている鬼塚です。(わけわからんですが,お察しください)
今回はバイアスについて、簡単にですが解説してみたいと思います。
この「バイアス」という言葉、聞いたことある人もいるかもしれませんが、ない人もいるかと思います。(どっちだ?!)
これも様々な分野で使われている専門用語っぽいですが、聞き慣れていないと意味が想像しづらいですね。
電気分野では「バイアスをかける」とか「バイアスが乗っかる」とか言いますが、心理学の用語でも「正常性バイアス」とかがあります。こっちはどこかで耳にしたことがあるか、もしくは体験したことがあるかもしれません。
災害とかが起こっても「大丈夫だ、問題ない。」と謎の自信がどこからともなく湧き上がってきて逃げ遅れてしまうようなやつです。
人間は思い込みと勘違いで生きている動物ですが、肝心なときに神は助けてくれません。
やばいときは周りなんか気にせずさっさと逃げてしまいましょう。
というわけで、人間にもバイアスがありますがセンサにもバイアスがあり、同じくやっかいな存在です。
実際に見てみましょう。こちらはセンサを机の上に置いて静止した状態で、ジャイロ(角速度計)のデータを見ています。
グラフが画面全体にギザギザしていますが、まずは縦軸にご注目ください。
原点は、下の方に「00.0000」と出ていますが、XYZの値を見ると、どれも0(ゼロ)ではなく、それぞれプラスの値を持っています。
縦軸のレンジを見てみると最大値は0.0055000なのでとても小さな値で変動していることがわかります。
ギザギザしているのはとても小さなレンジで見ているのでノイズが見えてしまっているのですが、それぞれが一定の距離を持って離れて出力されているのがお分かりかと思います。
ジャイロはセンサが回転したときの角速度(deg/s)を計測するので、センサを動かしていない場合はなにも出ない(ほぼ0の)はずです。
とはいえ、このデータを真に受けると、センサはとてもゆっくりと回転(角速度がかかっている)していることになります。
これは一体どういうことでしょうか?!
実は、このように0の位置から一定で乗っかっているように見える値が「バイアス」です。
これの原因として大きいのが温度変化ですが他にもいろいろと要因はあります。
もちろんこのセンサは、温度補正を行っており極力バイアスが小さくなっていますが、残念ながら一般的な慣性センサは仕組み上、この問題からは避けられないものです。
前回、「ドリフト」について説明しましたが、その原因もコイツです。(細かいことはほかにもありますが^^;)
さて、このバイアスがやっかいであることはお分かりいただけたと思いますが、よくよく考えると、
センサが止まっているときに一定量で乗っかっているので、それを引いちゃえば0にならないでしょうか??
はい、ご安心ください!センサにはジャイロバイアスを補正する機能がついており、それを使うとこのよーになります。
バイアスがなくなって、なんだかカラフルになりました!
虹のようで綺麗ですがやっぱり実際に計測するときはこのギザギザのほうもじゃまでしょうか...
完璧を求めていてはキリがないですが、ノイズとしてはかなり小さな値になっているので、後はフィルタで一掃してやればよいのです。
というわけで、次回もお楽しみに!