IMUってなんぞ?part15:ここまでのまとめ(AHRS
2019年2月1日
孤独なサバイバルイベントが近づいてきており、どこからともなく飛んでくる豆鉄砲に警戒している鬼塚です。
私に豆をぶつけてもなにかのポイントが加算されるかもしれませんが、厄は払えません。
なんとか巻で後ろから殴らないでください。/(>_<)\
物騒な話はおいといて、ここまでの話をまとめます。
part10でもまとめていますが、
- 加速度センサ(速度の変化量を取る)
- 角速度センサ(角度の変化量を取る)
が一つになったものをIMU(Inertial Measurement Unit)と呼びます。
これはVGやVRUとも呼ばれ、加速度センサは重力を基準に、角速度センサはコリオリの力を使ってそれぞれの値を計測しています。
これらのセンサの値を使って計算することでオイラー角を求めることができます。
オイラー角は姿勢を3つの軸の角度(ロール、ピッチ、ヨー)で表現します。
これで3Dモデルをグリグリ動かすことができますが、ヨーについては基準がないので適当に決める必要があります。
ヨーを方位角として北を基準(0°)とするために追加したのが地磁気センサです。
このように、IMUに地磁気センサをくっつけたものを、AHRS(Attitude Heading Reference System)と呼びます。
日本語にすると、「姿勢方位基準装置」といいます。そのまんまですね。
Heading(ヘディング)という単語が使われていますが、コレも北を基準とした方位角という意味です。
ネットで調べたりセンサのマニュアルを見たりするとだいたいヨーとごちゃ混ぜで出てくるのでおんなじ意味で大丈夫です。みんな適当ですね。
ちょっと補足しますとヘディングは機首方位という意味があるらしく、航空機とかの乗り物でよく使われるみたいです。
ヨーに限らず、ロール、ピッチにもいろいろな分野で違う呼び方があるのですが、挙げていってもキリがないのでやめときます。
とにかく常に頭を北に向けている人はAHRSを搭載しています。私を狙わないでください。
で、AHRSのよみかたですが、これも特に決まってはないようです。
そのまま、「えいえいちあーるえす」でも、短めに「えはす」でもいいですが、私は「えいはーす」と呼ぶことにしました。(どこかのマザーボードメーカーみたいですね...
皆様、どーぞお好きによんでください。
弊社が取り扱っているAHRSで代表的なものがこちらです。
◆米国LORD社の超小型、超軽量センサ 3DM-GX5-25
◆仏国SBG社の高精度、堅牢なセンサ Ellipse2-A
それぞれのスペックを見ると、ロール、ピッチとヘディングで精度が分かれていることにお気づきかと思います。
前にも説明しましたとおり、ヘディング(ヨー)は基準となるものが違い、環境による影響があるので数値としては若干悪くなっています。
もちろん、センサには少しでも精度を向上させるためのフィルタアルゴリズムなどが搭載されていますが、ロール、ピッチには及びません。
とはいえ、北を基準とした方位角が必要であれば、AHRSは選択肢に入ります。
結局のところセンサを選ぶときに重要なのは、いかに高精度なものを選ぶか、ではなく、アプリケーション(やりたいこと)が実現できるかどうかです。
大雑把でもいいのでお手軽に方位を取りたいのであれば地磁気センサは有効ですし、必要に応じてセンサの設定で無効化することもできます。
ちなみに、方位を取る方法はこれしかないと言いましたが、センサの外側にあるモノを使えばもっと正確な方位を取得することができます。
これもいろいろな手段は考えられますが、GPSを使うのが現在の主流です。
GPSといえば、地球上のどこにいても(空が見えていれば)位置を取得できるものとして既に一般的ですが、工夫することで方位も求めることができます。
ということで、次回からはIMUとGPSを組み合わせたセンサについてお話していきたいと思います。お楽しみに!