過酷なレーストラック環境における動的傾斜・加速度・角速度の高精度な測定に
2026年2月3日
MicroStrainのMV5‑ARを使った事例
Andy May氏によって2015年に設立されたZETA Performance Vehicle Technologies(以下ZETA)社は、フルサービス型の自動車エンジニアリング企業です。設立者のAndy氏は、ノースカロライナ大学シャーロット校の機械工学学士号を持つ、モータースポーツ・レーシングチームでの豊富な経験を積んだ人物です。
ZETA社は、車両開発と試験を専門としており、レース対応の電装システム試験や車両加振試験、レーストラック試験での、データ取得により、トータルエンジニアリングサービスを提供しています。
課題 -CHALLENGE-
ZETA社は、レーストラックのような極めて過酷な環境下で、動的傾斜・加速度・回転角を高精度に測定できるソリューションを必要としていました。ZETA社の車両試験および開発では、急激なスパイク加速度や路面の荒れを伴う3Gを超える横Gと同じく大きな姿勢角(ピッチ・ロール・ヨー)の変化がある過酷な条件下でも、データがデータが欠損せず取得できる、堅牢で信頼性の高いデータ収集システムが求められていました。
MicroStrain MV5-ARの導入 -SOLUTION-
そこで採用されたのが、こうした過酷な環境向けに高精度な測定を実現する為に設計された安定したジャイロ傾斜計であるMicroStrainのMV5-ARです。MV5-ARはZETA社の車両データ収集システムと車両評価と制御の為の関連するデータ収集システムに用いられるCANバス通信環境にスムーズに統合され、エンジニアが余計な設定や調整に時間を割くことなく、車両性能評価に集中できる環境を実現しました。
結果 -RESULT-
MV5-ARは、モータースポーツ環境下の極限条件でも安定して動作し、信頼性の高いデータ提供に成功しました。
Andy May氏は次のように述べています。
「もしこの環境で問題なく動作するなら、モータースポーツのほとんどの現場でも機能すると言えるでしょう。“If it works there, it’ll work most anywhere in motorsports.”」
このシステムの耐久性や能力により、ZETA社が以下の重要なデータを取得することを可能にしました。
- シャシーやサスペンションの評価の為の姿勢角(ロール・ピッチ・ヨー)データ
- 路面とタイヤ応答の解析の為のスリップ角(横すべり角)データ
結果として、同社の車両開発能力は大きく向上しました。
過酷な試験に対する性能 -EXTREME TESTING CAPABILITIES-
ZETA社では、7ポスター(7個サーボアクチュエータによる車両加振機)を活用しています。4つの加振機がタイヤホイールにプログラムされた振動を加え、3つの加振機がさらなる負荷をサスペンションやシャーシなどの特定の箇所に加えます。
この規模の試験設備を有する施設は西半球でわずか4か所のみであり、ZETA社が車両をレーストラックに持ち込む前に、制御された環境下で極限状態の試験をすることを可能にしています。
Andy May氏は、3G以上の横Gや1~2G以上のスパイク加速度、路面の荒れなどに加えて姿勢角(ロール・ピッチ・ヨー)を再現するこの試験環境を「過酷なアプリケーション“brutal application”」と表現しています。
これらの環境は、再現性のあるデータの取得や微細な詳細の把握を困難にし、計測機器の耐久性と能力を試す素晴らしい試験環境です。
MicroStrain MV5-ARの性能と優位性 -THE TECHNOLOGY-
MicroStrainのMV5-ARの安定したジャイロ傾斜計は、ダイナミックな環境下における高精細計測技術の最先端を示すものです。さまざまな極限状態に耐えられるよう特別に設計されており、MV5-AR は、最も過酷な状況下でもダイナミックな傾斜角、加速度、角速度の正確な測定を提供します。
MV5-AR は CANバス通信に対応しており、車両評価および制御のためにデータを収集・送信する際に Controller Area Network(CAN)が使用される自動車試験の為に最適です。この機器の堅牢な設計により、ハイパフォーマンスレース環境で発生する暴力的な衝撃、振動、そして 重力にもかかわらず、信頼性の高い性能を保ちます。
Andy May 氏はまた次のように述べています。
「MV5 は車両データ取得システムとうまく連携し、我々が計測機器ではなく車両に集中することを可能にします。“We found that the MV5 plays well with our vehicle data acquisition system, and lets us concentrate on the cars, not the measurement tools.”」
MV5-ARの最も価値ある機能のひとつは、「スリップ角(横すべり角)」を算出できる能力です。これは、タイヤのグリップ限界における車両性能を理解するために不可欠な測定値です。このデータチャンネルは、ジャイロからの入力をカルマンフィルタを介して加速度計および GPS のヘディングデータと組み合わせる高度なアルゴリズムを用いて、彼らの解析ソフトウェア内で計算されます。これにより、レーシングエンジニアはタイヤが路面とどのように接しているかについて正確に推定することができ、サスペンション設定、タイヤ選択、運転技術を最適化することが可能になります。
MV5-AR の卓越した耐久性は、ZETA社の過酷な試験計画によって証明されています。これらの試験は、一般的な産業用途で用いられるものよりも遥かに過酷な条件に機器をさらします。
Andy氏によると、
「先週のデータは過酷な用途からのものだ。横Gは3g超で、1~2g 超のスパイク加速度と多くの荒れた振動、さらに大きなピッチ、ロール、ヨー角が加わっている。“Last week’s data is from a brutal application: 3+ gs lateral acceleration with 1 – 2+g spikes and a lot of roughness, plus large pitch, roll and yaw angles.”」
とのことです。
これらの困難にもかかわらず、MV5-AR は ZETA社がレース車両を微調整するために使用する信頼性が高く実用的なデータを提供し続けています。
MV5-AR のコンパクトな寸法は、取り付け場所に制約のあるレース車両での取り付けを容易にします。一方、その高度な電子機器は、長時間にわたる高G機動中でもドリフトを最小限に抑え、最大限の精度を確保します。この堅牢性、精度、そして統合の容易さの組み合わせにより、MV5-ARは要求の厳しいモータースポーツの試験および開発において理想的な選択肢となっています。