IMUってなんぞ?part16:GPSとゆかいな仲間たち
2019年3月6日
電波を受信中の鬼塚です。
前回に引き続き、GPSについて基本的なところからお話していきます。
GPSがなんのために使われるかは、ざっくりご理解いただけているかとは思いますが、ちょっと言葉の定義に目を向けてみましょう。
GPSというのはGlobal Positioning System(グローバルポジショニングシステム)の頭文字を取ったもので、アメリカ合衆国さんによって運用しているシステムです。
もともとは軍事用に開発されたもので、普通の人が使えるような代物ではなかったのですが、
徐々に仕様が公開されていき、今ではそのへんにいらっしゃる人でも自由に使えるようになりました。
とはいえ本来はそういう目的で作られているので、他の国だって黙って見ているわけにはいきません。
今の時代、いきなり戦争するつもりはないとは思いますが、それぞれの国には「防衛」とかいう大義名分があります。
お互い負けないように競争することで最新テクノロジーはガンガン発展していきます。
そんなわけでお下がりとなったものは私達でもいづれ使えるようになるのですが、このような"測位衛星システム"はアメリカ以外の国が作ったものがあり、実際に使われていますのでいくつか紹介します。
◆GPS(ジーピーエス:Global Positioning System)
先程も説明したとおり、アメリカ製のスタンダードな測位衛星システムです。
30機以上の衛星で地球全体をカバーしています。
◆GLONASS(グロナス:GLObal NAvigation Satellite System)
ロシア版の測位衛星システムです。これも位置を把握するシステムとしてはGPSと変わりませんが、通信方式がちょっと違います。一時期、お国の事情で衛星の数が減ったらしいですが今は多分大丈夫です。今のところ、衛星は最大24機使えます。
ロシア(旧ソビエト連邦)は世界初の人工衛星「スプートニク」を打ち上げましたが、GPSが開発される以前はこれを観測することで測位をやっていたようです。
◆Galileo(ガリレオ)
ヨーロッパ連合の測位衛星システムです。
こちらは軍事用ではなく、最初から民生用をメインとして開発されました。
現在での利用可能な衛星の数は14機くらいですが、30機まで増える予定です。
◆BeiDou(ベイドゥ:北斗衛星導航系統)
中国製の測位衛星システムです。
アメリカのGPSに対抗した独自システムですが、私達も利用可能です。
衛星には北斗やコンパスという名前が付いています。
次々に打ち上げられており、こちらも30機くらいまで増えるそうです。
◆QZSS(準天頂衛星システム:Quashi-Zenith Satellite System)
日本製の測位衛星システムです。「みちびき」という愛称がついています。
本名は「くあしぜにすさてらいとしすてむ」と言うらしいですが、中の人達は「きゅーずぃー:QZ」と呼んでるっぽいです。
去年やっとこさ4機体制での運用が開始されました。QZSSは衛星の数は少ないですが、8の字を描く特徴的な軌道で飛んでおり、
日本の上空を重点的に通るようになっています。ちなみに実際には8の字の動きで日本の上をブンブンと飛び回ってるわけではないです。ご興味ある方は調べてみてください。
というわけで、いろんなやつらが出てきましたが、
これらをまとめた総称をGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)といいます。
情報を調べるとこの名前がよく出てきて、だいたいGPSとごっちゃになっており混乱するかもしれませんが、
本来GPSと言ったらアメリカ製の測位衛星システムを意味します。日本が作ったQZSSもホントはGPSではありません。
ただし、ほぼ同じ仕様なのでGPSと同じように使うことはできます。
結局GPSという名前がメジャーすぎるので何でもかんでもGPSと呼んじゃってますが、普段使うときはあまり気にしなくても大丈夫です。ただきちんと計測するときにはGNSSのそれぞれの特徴と、実際にどれを利用するかも知っておくと良いでしょう。
それでは、次回もお楽しみに!
...ところでロシアさんのGLONASSのフルネームとGNSSのフルネームがなんか同じっぽいんですが、被ってしまったんでしょうかね。