病院の環境でのマジックカーペットの活用法
2023年10月17日
マジックカーペットは、病院での診療を促し、気を紛らわせる遊びを提供し、 侵襲的な処置の間の対話的なサポートを提供できますか?キングスカレッジ病院NHS信託基金の専門のプレイスペシャリストである シアン・スペンサーリトル(Sian Spencer-Little)さんの報告です。
2023年10月17日
マジックカーペットは、病院での診療を促し、気を紛らわせる遊びを提供し、 侵襲的な処置の間の対話的なサポートを提供できますか?キングスカレッジ病院NHS信託基金の専門のプレイスペシャリストである シアン・スペンサーリトル(Sian Spencer-Little)さんの報告です。
私は、キングスカレッジ病院NHS信託基金の一部であるプリンセスロイヤル大学地区総合病院内の小児科急性期病院で勤務しています。
「専門プレイ・プラクティショナー」です。つまり私の仕事の目的は、子どもや若者が処置のために病院を訪れたときに経験しうるトラウマのレベルを抑えることなのです。
そのため、特別な遊びや 気を紛らわせる遊び、治療の準備のための遊び、遊びのプログラムの作成など、さまざまな 方法で行います。
その一環として、私たちはマジックカーペットを知ることになったのです。
簡単に使える、移動ができる、 そして清潔を保てる事も考慮に 入れた大事な点です。
私たちは当時、臨床の現場で本当に役に立つ、その機能においてかなり際立ったものを探していました。そして、あらゆる年齢や発達段階にある子どもと若者のために設計された製品であることを強く望んでいました。
“マジックカーペットは 一番インタラクティブな装置だと思いました。”
私たちは、子供や若者が自分の環境をコントロールできるような、まさにインタラクティブで自分たちが操作できるような製品を求めていました。類似の製品も検討しましたが、マジックカーペットが最もインタラクティブなシステムであるように思いました。また、マジックカーペットは、部屋に入った瞬間に強いインパクトを与えることができるのも特徴です。
それは病院という環境を、従来の病院とは全く異なる魔法のような場所に変えてしまうことができます。これは、非常にストレスの多い経験をすることになる子どもたちや若者たちに、落ち着きを与えるのに役立ちます。
また、マジックカーペットが院内の感染予防にどのような影響を与えるかについても時間をかけて検討しました。これは、臨床環境での設備を検討する際に非常に重要なことです。
マジックカーペットは簡単に拭き取ることができ、自己完結型で空気孔がないため、感染予防のためのNHSガイドラインに適合しています。
私たちは幸運にも、地域社会に大きな利益をもたらすプロジェクトに資金を提供したいということで、ブロムリーロータリー・クラブから連絡をいただきブ資金提供を受けることができました。両者は、マジックカーペットが当院の小児瀉血クリニックに設置されることで、地域社会に貢献できることに同意しました。
このクリニックでは、外来患者として来院した子どもたちの血液を採取しています。
このクリニックは一週間を通して診療しており、1日に約30人の子どもや若者を診察しています。つまり、大勢の子どもたちが一週間にわたってマジックカーペットの恩恵を受けていることになります。
マジックカーペットは、忙しい小児科外来で、小児瀉血専門医とそのチームによって運用されています。 彼らは携帯電話からデバイスを操作し、トレーニングを受けたことで子どもたち一人ひとりに合わせたコンテンツを提供できるようになりました。
当院の瀉血担当は、子どもが部屋に入ったときに静かでリラックスできるように、いつも水面やポピーなどの落ち着いたアプリを流してスタートします。コンテンツに自分の足や 手で触れるとどうなるかを実演し、子どもの興味を引きます。そして、子どもがマジックカーペットに夢中になっている間に、説明と準備をすることができるのです。
手順が終わると、次の予約のために部屋を空ける必要があるまで、子どもたちは好きなアプリケーションを選んで遊べます。
チームがマジックカーペットを使い、気を紛らわせる遊びをすることで、子どもは楽しく、落ち着き、穏やかな気持ちで病院を後にすることができます。病院での滞在や体験は、ポジティブなものになるのです。
今では、「病院でサッカーができるから」と、病院に来ることを楽しみにしている子どもたちもたくさんいます。
つまり、病院はもう避けたい怖いところではなくなっているのです。
子供たちが強いストレスを感じたり、困難な環境に置かれたとき、最も感覚が高まるのはストレスセンサーですが、マジックカーペットを使えば、代わりに感覚的な想像力が呼び起こされるのです。
つまり、本当に怖い思いをしたかもしれない体験を、全く違うものに変えることで、患者の体験に影響を与えることができるのです。.
初めてマジックカーペットを導入したとき、病院に来ることをとても心配していた5歳の子どもがいました。彼女は病院について怖いことをたくさん見聞きしており、何を信じていいのかわかりませんでした。ご両親に相談したところ、アニメのニモというお魚が大好きなことがわかったので、部屋に入る前に水槽のアプリをマジックカーペットに入れました。
彼女が到着したとき、私は彼女の手を握り、水槽の中を歩きました。
泡ができたり、魚が動いたりしているのがわかり、彼女はすっかり目を奪われてしまいました。
しばらくして彼女は言いました。
「でも、テレビでやっている病院は、人を泣かせるんだよ。」
私は言いました。
「あのね、この病院はちょっと違うの。これを見せてあなたが気に入るかどうか知りたかったの。これで血液検査がほんの少し不快になるだけで済むといいんだけどな。」
小さな女の子は言いました。"これ消しちゃうの?」
私は「いいえ、このままにしておきますよ!」と言って、血液検査中はコンテンツに触れられるように瀉血用の椅子を投影の真ん中に置きました。
彼女は魚を動かすのに夢中で、血液検査をしたことにすら気づきませんでした。
検査が終わると、彼女は言いました。"家に帰りたくない!ここでお魚と遊びたい!"と。
「私は"また今度ね"と言ってから、他の子供たちが会いに来る前に魚を休ませないといけないから、今すぐ寝かせないとね!」と付け加えました。
これは、マジックカーペットが、彼女の病院に対する認識を完全に変えたことを物語っていると思います。
病院内で他にマジックカーペットが役立つと思われる場所はありますか?
長期的な目標は、小児病棟にもう1台設置することです。マジックカーペットは、原因と結果を活用できるので、リハビリテーションにも非常に有効だと思います。一歩踏み出せばこうなる、もう一歩踏み出せばこうなる、というように。
リハビリを行う子どもたちは、励ましと良い結果を得るための手段として、原因と結果をうまく利用することができます。マジックカーペットはその点で優れています。
また、集中治療室で特に体調が悪く、痛みを強く感じている子どもには、マジックカーペットの利用が有効だと思います。
ベッドに映し出された色彩とリラックスできるサウンドを楽しむことができますし、適切な方法で使用すれば、子供たちの心を癒すことができるでしょう。
マジックカーペットの良いところは、子どもたちや若い人たちも使える事です。実際誰でも簡単に使うことができるでしょう。
また、マジックカーペットは可動式なので、簡単に別の病室に移動させたり、投影サイズを変えてベッドや車椅子のテーブルの上に投影したりすることができるのも気に入っている点です。
マジックカーペットは、わずかな動きにも反応すします。すなわち小さな動きにも大きな動きにも反応するインタラクティブな体験ができます。
また、当院には自閉症やアスペルガーのお子さんも多く、定期的に来院されます。そのような子どもたちが、病院に来るとき、自分が受ける治療にばかり集中するのではなく、何か楽しみを持てるような製品が必要だったのです。
さらに、当病院ではまだ マジックカーペットを 視線入力装置や スイッチ装置などの 補助代替コミュニケー ション機器と 連動させていない のですが、 もし視線入力が使える ような長期療養の患者さんがいたら、
「私たちは、マジックカーペットが通院をより快適なものにし、気を紛らわせる遊びを提供し、侵襲的な処置の際に対話的なサポートを提供することを望んでいました。― そして、まさにそれが実現したのです。」
このような機器を使うことができるだろうと思っています。これもマジックカーペットのすごいところです。
感想はとてもポジティブなものでした。
1ヶ月間、患者さんとそのご家族にマジックカーペットに関連するアンケートをお願いしました。
質問は、マジックカーペットが気に入ったかどうか、また、マジックカーペットを利用したことで何か変化があったかどうかという内容でした。その結果、約9割の方が「マジックカーペットを導入してよかった」と回答され、非常に高い評価をいただきました。
-病院に来たときに変化があった。
-気に入った。
-楽しかった。
-対話型であったこと。
-病院で治療を受けていることを忘れさせてくれた。
私たちは、マジックカーペットが病院への訪問を促し、気を紛らわす遊びを提供し、侵襲的な処置の際に対話的なサポートを提供することを望んでいました。感想のアンケートによると、まさにそれが実現されているようす。
小児科外来のスタッフ全員がマジックカーペットの使い方を知っていて、とても好評です。保護者の方々もマジックカーペットがいかに素晴らしいかを話してくださいます。
最初から最後まで 素晴らしい経験ができました。
私自身やキングスカレッジ大学信託基金、ブロムリーロータリークラブ、センサリーグル社など、複数のパートナーが関わっているにもかかわらず、このプロセスは実にスムーズでした。これは共同作業の過程であり、私たちは、すべての中心にあるのは、子どもや若者、そして彼らの病院での 経験であることを確認し、 うまく協力し合うことが できました。その事は 決して忘れられる事は なかったと思います。
このインタビューにご協力いただいたシアンさんとキングスカレッジホスピタルNHS信託基金に感謝いたします。
患者さんに素晴らしい体験を提供しようとする、情熱的で熱心な医師と一緒に仕事ができることは、とても素晴らしいことでした。また、キングス・カレッジ病院NHS信託基金の募金活動を支援してくださったブロムリーロータリー・クラブに感謝いたします。